新型コロナウイルスとの関わりを場合分けして見てみたい―関わりがないこともある

 たくさんの人がいる中で、せきやくしゃみをする人がいる。その人は、まちがいなく新型コロナウイルスをまわりにまき散らすことになるといえるのだろうか。

 色々な民族がいる中で、中国人または東洋人がいるとすると、その人は新型コロナウイルスにまちがいなく感染していると見なすことはできるのだろうか。

 せきやくしゃみをしたからといって、それが必ずしも新型コロナウイルスをまき散らすことになるとはいえそうにない。たんなる風邪のことがあるし、のどがいがらっぽいことによるときがあるし、くしゃみだと花粉症のこともある。

 中国人や東洋人であるからといって、すべての人が新型コロナウイルスに感染しているとはいえず、そうではない無関係の人もまた少なくはない。

 場合分けをしてみると、新型コロナウイルスと関わりがあるのは目だちやすいが、関わりがないという目だちづらいところもまたあるから、それを見落とさないようにすることができればよい。

 せきやくしゃみをするからといって、必ずしも新型コロナウイルスが関わっているとは限らず、その反例もまたある。中国人や東洋人であったとしても、新型コロナウイルスに感染している人もいるだろうが、その反例もまた少なくはない。

 反例があるということは、まちがいがないくらいに絶対的に正しい見解だとまでは言えないことをしめす。せきやくしゃみをしたり、中国人や東洋人だったりすることから、新型コロナウイルスをまき散らしたり、それに感染していたりするのだとする見解は、それが当たっているとは限らず、外れていることも少なくないから、とりわけ説得性が高い見かただとはいえそうにない。

 一か〇かや白か黒かの二分法ではない見かたができるとすると、非の打ちどころがないほどに正しい見解とまでは言えなくなる。まったくまちがっているとまでは言えないが、確からしさにほんの少しも穴がないとまでは言いがたい。新型コロナウイルスとまちがいなく関わっているとまでは言えなくて、関わりがあるか無いかについては無いこともまたあるから、そこに穴が空いていることがある。

 参照文献 『クリティカル進化(シンカー)論』道田泰司 宮元博章 『東大人気教授が教える 思考体力を鍛える』西成活裕(にしなりかつひろ) 『実践ロジカル・シンキング入門 日本語論理トレーニング』野内良三(のうちりょうぞう)