ホテルは、首相とは食いちがう回答を行なった。このことについて、ホテルの回答のしかたは商売の常識からいって不自然だと見なしたり、またホテルはまちがった(誤った)回答をしたのだと見なしたりする見かたがとられていた。
ホテルと首相とは食いちがっているが、はたしてホテルが正しいのか、それとも首相が正しいのだろうか。どちらが適したことを行ない、どちらが適していないことをしたのだろう。それについては、場合分けをして見られる。
意図でいえば、ホテルと首相とで、それぞれがどういう意図を持っているのかがある。その意図をそのまま伝えているのか、それとも意図とはちがうことを伝えているのかがある。
ホテルがふさわしい意図をもっていて、それをそのまま伝えているのなら、それをそのまま受けとると正しい見解になるだろう。
首相が自分のしでかしたことをばれないようにするという意図をもっていて、その意図がばれないようにするためのごまかしの言動をしているとすれば、首相の言っていることをそのままうのみにはしないようにするのがふさわしい。
場合分けをしてみれば、いく通りかの見かたがなりたつ。そのうちのどれが正しくてどれがまちがっているのかをできるだけ慎重に見て行きたいものだ。
ホテルが国民をだますために、または政権をおとしいれるためにカタリ(騙り)を行なうとはあまり考えづらいから、その可能性はゼロではないにしろ、あまり高くはないだろう。そのいっぽうで、首相が国民をだますためにカタリを行なうことは可能性として決して低くはない。カタリをすることで利益を得られるからその動機づけがある。
政治家はえてしてカタリを用いるものである。包み隠さずに何でもかんでも思っていることをそのまま国民にたいして言うとは見なしづらい。また、首相の利益と国民の利益はまったく合うものではなく、そこには少なからぬずれがある。そこに注意をしたい。
参照文献 『疑う力 ビジネスに生かす「IMV 分析」』西成活裕(にしなりかつひろ) 『政治家を疑え』高瀬淳一