おいこら警察とおいこら国民―政治への批判

 戦争が終わったすぐあとのころの警察はおいこら警察が多かったという。

 明治の時代に日本の警察として採用されたのは士族(武士の階級)が多かった。気位が高くて一般の国民を下に見るようなところがあるとされる。戦争が終わったすぐあとのころにはまだその性格が残っていた。

 いまの警察では、職務質問をしてくるときに、強圧的なところがあるから、おいこら警察のようなところがなくはない。有無を言わさずに不審な人間ではないかと見なしてくるのだ。

 政治においては、おいこら国民というのがいてもよいかもしれない。政治を批判として見る国民だ。政治で悪いところが行なわれていないかどうかを厳しく見て権力チェックをして行く。政治で行なわれていることのぜんぶを否定するのは駄目だろうが、まずいことについてはしっかりと批判をして行くことがなされればよい。

 悪いことをさせないように見はるのが警察だが、いまの日本の政治ではそれがいちじるしく欠けてしまっているような気がしてならない。そのために時の政治の権力がよくないことをやりたい放題になってしまっている。きびしく見ればそう見なせる。それは社会の中に警察が見あたらないのに等しい。歯止めをかける役が欠けていて、歯止めがかかりづらいありさまだ。

 参照文献 『日本の「運命」について語ろう』浅田次郎