性の交渉と合意―性の交渉についての交渉

 性の交渉を行なうさいに、それを行なう前の交渉がある。合意をとりつけることである。

 交渉における合意とは、分配的合意と統合的合意があるという。対立点が一つのさいには分配的合意で、対立点が複数あるさいには統合的合意となる。

 分配的合意のさいには、欲しいものが一つあって、それをどちらが得るのかといったものである。その一つのものをどちらかが得たり、または半分ずつにしてどちらもが得たりする。

 分配的合意では、二人の人がいるとして、どちらかがゆずったり(譲歩)、または互いに歩み寄ったりする(妥協)ことになる。

 統合的合意とは、統合的解決ともされる。欲しいものが一つあったさいに、それを二人がともに得たいということがある。たとえばパソコンがあるとすると、一つのパソコンをうばい合うことになる。一方はパソコンを昼に使いたくて、もう片方は夜に使いたいのだということがわかれば、それぞれがかぶらないように昼や夜に使えばよい。統合的合意がなりたつ見こみがある。

 ひと口に合意といっても、それには分配的合意や統合的合意というのがあって、色々な見かたがなりたつ。かんたんにただ合意を得たり得なかったりというふうにできるのはあるが、改めて見てみれば、それがどういう合意なのかを見て行ける。

 交渉をするさいには、互いの利益が増すようになるのがのぞましい。互いに利益を得られるのが理想だ。そのさいに、分配的合意よりも統合的合意のほうがよりお互いの利益が高まるとされる。

 性の交渉においては、そのまえの段取りとして、性の交渉をするかどうかの交渉をして、合意を取りつけたほうが安全だろう。どのような間がらにあるのかは色々あるだろうから、いついかなるさいにも交渉をして合意を得るべきかどうかは定かではないが、気をつけるべき点としては、利己になりすぎず、利他によることがあったほうが危険性は少ない。利己になりすぎると、被害を生んでしまうことがあるし、あとで紛争がおきてそれについての交渉をすることになりかねない。そのさいの交渉では第三者が介入する、つまり裁判になることがある。

 参照文献 『徹底図解 社会心理学山岸俊男監修