西洋のスペインで環境の国際的なもよおしが開かれていた―環境の問題における社会的矛盾と逆説

 西洋のスペインで、環境の国際的なもよおしが開かれている。そこに日本の環境大臣が出席して、環境団体から化石賞を受賞していた。

 この化石賞というのはいわば皮肉の賞のようで、日本が化石燃料による発電を多くやっていることから、それへの批判をこめたもののようである。

 日本の環境大臣はこの賞を受賞したことを受けて、ややとんちんかんなことを言っていた。賞の意味あいがわかっていないのか、それとも大臣ともなると、色々なところに神経を使わないとならないから、角が立たないようにするために、何とも言い切れないということなのかもしれない。

 日本の登山家(その他日本の著名人の一部)は、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏のことを批判している。批判はあってもよいものではあるけど、登山ということでいうと、いわば環境をよくするという同じ山のいただきを目ざしているのであれば、行動の一部に一貫性がないところが少しくらいあったとしても、小さいことではないだろうか。

 そういう小さいところに目くじらを立てたり、陰謀理論を持ち出したりするのではなくて、大局を見るようにして、環境をよくして行くという山のいただきを見るようにしたほうが建設的だろう。

 環境の問題というのは、一つには社会的矛盾が関わっているとされる。そして逆説もまた関わっていることだろう。

 社会的矛盾が関わっているのは、社会心理学者の山岸俊男氏によって指摘されている。社会的矛盾とは、社会問題の多くに見うけられるもので、環境でいえば、ほんとうはみんなが環境によいことを少しずつやって行ければよいのを、それができずに利己的な行動をとってしまい、けっきょく自分たちまたは将来の世代の首をしめることになるというものだ。このさいのみんなというのは、国内でいえば国民だし、国際社会でいえば各国だ。

 逆説では、学者の西成活裕氏が科学のゆとりということを言っていて、これはことわざでいう損して得とれということである。いま損をしてもあとで得をとれるというのは、まさに環境をよくすることに当てはめられる。それができずに、いま得をして、あとで損になってしまうというのは、逆説がはたらくことでありまた社会的矛盾だ。

 参照文献 『社会的ジレンマ山岸俊男 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ)