組織の不祥事がいくつかおきている―上(いまの時の政権)が腐っていれば下も腐りやすい

 関西電力は、お金をめぐる疑惑がとり沙汰されている。原子力発電所をつくることをめぐって、関西電力と民間企業と地方自治体の役人(助役)とのあいだで巨額のお金の受けわたしが行なわれた。

 日本郵政は、保険を売るさいに高齢者をだますような形で商品を売りつけていた。それを報じた NHK の番組にたいして、日本郵政は抗議した。総務省を通して圧力をかけさせた。総務省NHK の経営委員会を介して、日本郵政に都合が悪いことを報じるなととがめた。

 総務相はこれにかんして、 NHK の番組にたいする介入には当たらないと言っている。総務相のこの見解はうなずけるものではない。言っていることとやっていることが矛盾している。言行の不一致だ。

 関西電力日本郵政も、どちらも大きな組織だ。大きな組織による不正が目だつ。組織は大きいほど腐敗しやすいというのがある。それにくわえて、二〇世紀型のやり方である、ものをたくさんつくってたくさん売るというあり方に無理がおきてきている。それが関わっているのがあるだろう。

 二〇世紀においては、ものをたくさんつくってたくさん売るあり方がとられた。それはいつまでもつづけられるものとは言えそうにない。日本の国内では少子と高齢の社会になることがほぼ避けられない。二一世紀においてはこれまでとはちがったあり方にするために、量よりも質といった、あり方の抜本の転換が求められていると言えるだろう。それに加えて、これまでのあり方で行なわれてきた色々なおかしいこと(搾取など)を省みることが欠かせない。

 危機管理や社会関係においてのぞましいのは、一番はじめにいちばん力を注いで問題に当たって行くことだ。最初期重点対処の法則という。この法則に照らし合わせてみると、関西電力日本郵政は、どちらも問題を何とかごまかそうとかもみ消そうとかしているように映る。できたら無いことにしたり、大したことがないことにしたりしたい。それでずるずるとあと出しのように問題が引きのばされてしまう。

 ことわざでは、嘘ははげる(ばれる)というのがあるが、とりわけ世間で大きく注目されるような不祥事では、そのことについて当事者がはじめに嘘をついてもそれはわりとすぐにばれてしまいやすい。うやむやにしようとしてもそれはできづらい。隠しづらい。そのことに注意することがいる。きちんとした危機管理や社会関係を行なう意欲を持って、早いうちに危機に向き合って対応したほうがかえって効果的だ。

 関西電力日本郵政といまの時の政権に共通する点は何か。それは、組織というのはとりわけ上が腐りやすいということだ。組織の中では、上に位置する者に問題があることが多いのがある。

 国のいちばん上である時の政権が腐っていることで、下が腐ることをうながす。いまの時の政権は中央への求心性を強めるあり方をとっていることで、政治や社会の情報の透明性や公開性がさまたげられている。和の拘束や空気を読むことや忖度(そんたく)が行なわれる。効率がよかったり安定していたりするようでいて、じっさいにはその逆に不安定になっているのがいなめない。小出しにこまめに不安定さを吐き出せていないからである。

 参照文献 『失敗の研究 巨大組織が崩れるとき』金田信一郎 『二極化どうする日本』柴栗定夢(しばぐりさだむ) 『コミュニケーションを学ぶ』高田明典(あきのり)