国会議員は、自然災害などの現場に駆けつけるべきか、それともそれをしないようにするべきか―順機能(プラス)と逆機能(マイナス)の二つの視点

 国会議員が、自然災害などがおこった現場に駆けつける。野党の議員がそれをすることにたいして、批判が投げかけられていた。国会議員が自然災害などの現場に駆けつけると、現場で作業をしている人のじゃまになるというのだ。

 たしかに、公の地位の高い人が、それほど大した用もないのに自然災害などの被害の現場に駆けつければ、現場で作業をしている人のじゃまになってしまうかもしれない。これは、現場に駆けつけることの負の面であって、逆機能に当たることだと言えるだろう。

 国会議員が現場に駆けつけることは、なにも逆機能だけに終わるものとは言えそうにない。正の面である順機能があるのだから、それを見るようにしないとならない。よいところとしては、その現場に自分で足を運ばなければわからないことを、国会議員は知ることができるだろう。現場にじっさいに行かなければわからないことはあるはずだ。国民が困っていることについて、じかにその声を聞くことができて、その声をすくい取ったり広く拡散したりする役目をになえる。

 視点を変えて見てみれば、国会議員が現場に駆けつけないことにもまた、順機能と逆機能があるだろう。その順機能としては、現場で作業をしている人のじゃまにならないというのがある。押しかけて行くことによってじゃまになってしまうのを避けられる。

 現場に駆けつけないことの逆機能としては、現場に行かなければわからないことを知ることができないのがある。現場にいる人のじゃまになってしまうおそれをわきに置いておけるとすれば、現場に駆けつけて行って損になることはまず考えづらい。情報量は少ないよりも多いほうがよいし、国外に行くのではなくて国内に行くのだから、そこまで大がかりなことではない。

 与党の議員であれば、政権にたずさわっているか、または政権に近いところにいるのだから、現場に行って国民から厳しい声を受けることが怖いというのもあるのではないだろうか。時の政権は何をやっているんだとか、与党は何をやっているんだとかといった、生の厳しい声が現場にいる人から投げかけられるかもしれない。そういう生の厳しい声を聞きたくないから、および腰になることで現場には行かないということもないことではないだろう。

 参照文献 『できる大人はこう考える』高瀬淳一