中国をこらしめるために、中国製品を買わないようにする策が言われていた

 アメリカと中国が対立している。お互いに経済で相手をこらしめようとし合っている。

 アメリカの肩をもって、中国をこらしめることにすけだちをする。それで、中国に経済の制裁をしようということで、個人でできることとしては、中国の製品を買わないようにしようという不買運動ツイッターのツイートで呼びかけられていた。

 このツイートにたいしては、さすがに中国の製品を買わないようにすることは無理だという声があがっている。日本で売られている製品で、メイド・イン・チャイナのものは少なくはない。ほんの少しであっても中国が関わっている製品をいっさい買わないようにするとなると、生活が立ち行かなくなるおそれがある。中国をこらしめるつもりが、かえって自分で自分をこらしめる(苦しめる)といった変なことになってしまう。

 中国と日本の関わりというのは、中国でつくられた製品が日本に輸入されることに限られない。日本人が使っている日本語には漢字が用いられるが、この漢字は中国でつくられたものなのだから、漢字を使っている以上は、中国の文明からの恩恵を文物において受けつづけていることになる。それでいて、中国のことをこらしめようというのは、やや一貫性に欠く。

 アメリカと中国とが対立しているさいに、ただやみくもにアメリカの肩を持つというのはそこまでふさわしいことではないだろう。一か〇かや白か黒かといったことではないだろうから、アメリカが中国にたいして行なっている対外的な政策は、完ぺきに正しいとは言えないものであって、人間のやることなのだからまちがいを避けられない。

 アメリカも中国もどちらも力をもった大国ではあるが、どちらかだけの肩を持つというのではなくて、どちらにおいてもまちがいやおかしいところがあるのをまぬがれない。そこについては、力(might)と正しさ(right)を分けて見るようにしたい。たとえアメリカが力をもった国だからといって、それにむやみに従ってついて行くことが正しいことであるとは見なしづらい。中国にたいしてもそうではあるが、アメリカにたいしてきちんと批判を投げかけることがいるのではないだろうか。