日本と韓国における考え方の枠組み(フレームワーク)のちがい―システム一とシステム二

 日本には日本の枠組みがあって、韓国には韓国の枠組みがある。この二つの枠組み(フレームワーク)のちがいがある。

 日本の枠組みの中には、核となる信念があって、感情のしきい値がある。このしきい値を超えると、感情の高ぶりとなって反応としてあらわれ出る。

 経済学者のダニエル・カーネマンは、システム一とシステム二ということを言っている。システム一は速いもので、システム二は遅いものだ。このうちで、日本の枠組みを当てはめるのはシステム一に当たるものだろう。

 日本の枠組みをおし進めることは、システム一によるものであって、そこにはシステム二が欠けている。そこに気をつけるようにするのはどうだろうか。

 韓国がもつ枠組みにたいして、日本はそれを受け入れられないということで、反発することになるのは、日本がもつ核となる信念と合わず、感情のしきい値を超えるためだ。そのさい、日本がもつ核となる信念や感情のしきい値に、少なからぬ認知のゆがみがあることはまぬがれない。その認知のゆがみを改めるようにするのが、システム二だというわけだ。

 日本がもつ枠組みによるのは、システム一にはなるが、それだけだとぜい弱性がある。ぜい弱性を抱えたままで、日本がもつ枠組みをおし進めて行くと、日本の国益を大きく損ねることになりかねない。

 システム一によるだけになって、日本の国益を大きく損ねるのを防ぐためには、システムニによる見直しをする手だてがある。日本がもつ枠組みの中にある核となる信念や感情のしきい値を改めることが役に立つ。日本がもつ信念や直観を補強するのではなくて、それを補正や修正するようにする。

 日本がもつ枠組みの中にある核となる信念や感情のしきい値が、まちがいなく正しいというのではないだろう。それはある観点ということにすぎず、またちがった色々な観点がとれるのがある。

 日本がよしとする枠組みを固定化させるのではなくて、そこにはたらいている固有の意味づけを変えてみることができる。まったく逆に意味づけするようにして、正と誤の両方の見こみがあるという見かたをとることがなりたつ。正か誤かはいわば土台となるところであって、たんにシステム一によって速く効率よく日本がよしとする枠組みを当てはめるだけでは、性急さによっておかしな方向につっ走って行ってしまいかねない。

 参照文献 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『アンガーマネジメント入門』安藤俊介 『現代思想を読む事典』今村仁司