一文化主義と多文化主義というのがあるかもしれない。一文化主義とは、一つの文化だけを正しいものだとしてよしとするものだ。これは自由主義によらないものだと言ってよい。多文化主義は、色々な文化があってよいとするもので、自由主義によるものだ。
宗教でいうと、一神教と多神教のちがいになぞらえられるところがある。一神教では唯一の神をよしとする。多神教では色々な神がいてよいとする。
一つの文化だけをよしとするのは、日本という一つの国のあり方だけをよしとすることだととらえられる。これは日本の国をよしとするべきだという規範によるものだ。そうではなく、色々な文化があってよいというのでは、規範ではなくて、実証によるものだと言えるだろう。実証としては、一つだけではなくて、人それぞれによって色々な遠近法(パースペクティブ)があるからだ。
参照文献 『ソウルの練習問題 異文化への透視ノート』関川夏央(なつお)