政治は安定している、といういまの首相の政権による虚偽意識(イデオロギー)

 政治の安定がなによりだ。いまの首相はそう言う。前政権である旧民主党のときには、政治が混乱した。それがよくなかったというのだ。

 政治の安定よりも、政治の権力が嘘を言わないことのほうがより大事ではないだろうか。政治の権力が嘘を言って開き直っているのであれば、政治の権力が言うことに信用を置けない。いまの首相による政権によって政治は安定している、と言うことをうのみにできないのだ。

 政治の安定とはいっても、不安定なのが悪いということは必ずしも言えない。不安定だから悪いのだとは必ずしも言い切れないのだ。政治が安定しているといっても、それが現実から離れた虚偽意識(イデオロギー)であっては意味がない。

 安定とはちがい、階層化や分断化がおきてしまっているのではないだろうか。そうしたことがおきている中で、さまざまな批判を封じた上に築かれた幻想の産物が、政治の安定ということだと言ったら言いすぎになってしまうだろうか。

 政治の安定というからには、それは安定した柱や土台によって支えられていることがいるが、そうなっているのだとは見なしづらい。柱や土台がしっかりとしているのではなく、不安定性やぜい弱性をかかえている。もろさがある。壁に寄りかかろうと手をついたら、それが壁ではなくてのれんだった、といったようになっている。政治の権力は有力さをよそおってはいるが、じっさいにはその反対にひどく無力かつ無責任なのではないだろうか。

 参照文献 『どうする! 依存大国ニッポン 三五歳くらいまでの政治リテラシー養成講座』森川友義(とものり) 『二極化どうする日本』柴栗定夢(しばぐりさだむ)