状況によって異なる労働の見なし方

 がんばって働こう。そうすれば、財産が貯まって、将来の暮らしが楽になる。よい暮らしができるようになる。人々にそう呼びかけた。

 その呼びかけにたいして、放っておいてくれないか、と人々はこたえた。たとえがんばって働かず、将来を待たなくても、すでに暮らしは楽なのだから。食べて行けるだけの作物は実るのである。

 これは、南にある島のフィジーにおける話だ。外からやって来た人が、現地の人に向かって、がんばって働くことをうながしたのだが、現地の人にはそれが通じなかったのだ。

 働くことの意味あいというのは、状況によって異なることがうかがえる。がんばって働くことに意味がないとは言えないが、働くことからの解放すなわち自由(フリーダム)にもまた少なからぬ意味はあるのだ。

 参照文献 『南へ 新・放浪記二』野田知佑 『夢を実現する数学的思考のすべて』苫米地英人 『できる大人はこう考える』高瀬淳一