消費税を上げるにせよ、上げないにせよ(下げるにせよ)、崖からころげ落ちてしまうことはないではない(財政の赤字や、格差の拡大や、超少子高齢社会なのがある)

 消費税を上げることが予定されている。それで国の予算はすでに成り立っている。消費税を上げるということで予算がつくられているので、これを変えるということになると、予算の一部にさしさわりがおきてくることになるのだという。

 消費税を上げることは予定されているが、政権の中では色々な声が投げかけられているのだと、幹事長代行はテレビ番組で言っていた。かならずしも消費税を上げるという声だけではなく、その他の声もまた上がっているのは、自由民主党のバランスのよさを示す。幹事長代行はそう語っている。

 バランスがよいというよりは、うわっつらになってしまっているのではないか。うわっつらになっていて、単純化されてしまっている。深く見られていない。

 幹事長代行は、景気が悪い中で消費税を上げることによって、国民を崖からつき落とすわけには行かない、と言っていた。この崖ということを、問題ということだとすると、この先にはいくつもの崖(問題)があるのであって、それがどういう崖で、どれくらいのものなのかや、どれくらいあるのかを、明らかにすることがいるものだろう。

 崖から落ちるといった悲観だけではなくて、そう大したことはないという楽観の説もあるが、いちおう危機管理ということでは、最悪としてどうなるかを見ておくことがいる。最悪となるような、崖から落ちるようなことを知っておくことは、無益とはならないものである。おどしのようになってしまうのはあるが、危機の意識がなければ問題は見つけられるものではない。

 問題があるのを見つけて、それにたいして何とかする手を打つ。それで、消費税を上げるとか、または上げないとか、もしくは下げるとかというのがある。そのさいに、肝心となるのは、さまざまな問題をいくつも見つけて行くことだ。

 さまざまな問題をいくつも見つけて行くためには、単純化したり、表面だけを見たりするのではなくて、民間のトヨタ自動車で行なわれているような、なぜという問いかけを何回もくり返すといったことがいる。

 中国の政治家の毛沢東は、目の前に見えている矛盾を見るのではなくて、そのうしろにある主要な矛盾を認知せよ、と言っているという。目の前の矛盾ではなく主要な矛盾を見るようにするのは、周辺や表面の問題ではなくて、核心となる問題を見るようにすることだ。

 表面のことだけを見て、それで何とかなるのならよいが、それで何とかならないくらい難しいのであれば、深くものごとを見て行くことがいる。問題があることにたいしてうしろ向きになるのではなく、逆に前向きになって、問題が無いのではなくあったほうがよいというふうに逆にとらえる。

 前向きにとらえるようにして、問題をいくつも見つけて行く。そして、トヨタ自動車で行なわれているように、なぜの問いかけをくり返し投げかけて、現象にたいする(周辺や表面ではない)核心の原因をさぐる。

 じっさいには核心の原因を見つけることはできづらいから、そこにどこまで近づいて行けるかとなる。そうすることによってはじめて、国民にたいして有効な複数の選択肢を示すことができるようになる。いまはそうはなっていなくて、国民にたいして非有効的で不毛な単一の選択肢しかとれていない。厳しく見ればそう言うことができるだろう。

 大づかみな大論点としては、社会の中において、非効率になっていて、不公平になっているという二つの問題があげられるのではないだろうか。とりわけ国の政治における非創造性(創造性の欠如)というのもまた無視することができづらい。

 非効率と不公平の二つの問題については、楽観で見られるとすれば、何か特効薬や即効薬のようなものがあったり、科学技術が飛躍的に向上したり、うまい知恵があったり、または時間が経つことで自然とうまく行ったりということはあるかもしれない。そうではなくて、悲観で見るとすると、非効率と不公平を改めずにそのまま放ったらかしにすることで、悪い方向に向かって行くことになるおそれがある。

 参照文献 『問題解決力を鍛える』稲崎宏治 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『SE の文章術』克元亮 『考える技術』大前研一 『財政危機と社会保障鈴木亘(わたる) 『効率と公平を問う』小塩隆士 『創造力をみがくヒント』伊藤進