国は包括なので、都道府県の地方自治体のほうが、特定のことについてはより関わりが深い

 国が決めたことには従え。中央の政府が決めたことに逆らうな。はたしてそう言うことが言えるのだろうか。

 沖縄県のことであれば、国は直接の当事者とは言いがたい。沖縄県が直接の当事者だということが言えるだろう。沖縄県の言うことのほうが重いという見かたはなりたつ。

 直接の当事者ということをつきつめて行くと、国よりも県(都道府県)、県よりも市町村、みたいなことも言えるかもしれない。それでいうと、県よりも市町村、では終わりにならず、市町村よりも区域、区域よりも個人、ということもまたなりたつ。

 個人がいちばん小さく分けられる限度になるかと言えば、必ずしもそうとは言い切れそうにはない。小さく分ければ分けるほどより直接の当事者の度合いが高まって濃くなって行くかは定かではない。これは、最終の決定の単位を何にするのかが関わる。あることにおける最終の決定の単位として、より重みをもつのは、国か、県(地方自治体)か、といったことだ。

 あまりにも小さく分けてしまいすぎると行きすぎることになるが、適した大きさに小さく分けることは有効だろう。戦前や戦時中のように、国家の公が肥大して大きくなってしまいすぎるのを防いで、個人や少数派や反対勢力(オポジション)を大切にしたり、自治を大切にしたりすることがのぞましい。

 参照文献 『政治的思考』杉田敦 『公私 一語の辞典』溝口雄三 『逆説の法則』西成活裕 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之 『「野党」論』吉田徹