いまの首相による政権やいまの与党は、他からの批判や反証(否定)に開かれていないために、他と話し合いのやり取りを行なうことがさまたげられている(同質の者どうしの独話や会話しかできていない)

 人格への攻撃や悪口を言うのではなく、まともな公共政策の議論をしてほしい。与党のみならず、野党も(与党と同じかそれ以上に)悪い。野党の議員がしっかりとしていないから、与党とのまともな公共政策の議論ができていないのだ。野党の議員はあり方を改めて、与党との人格の攻撃や悪口のやり合いをやめるべきだ。こうしたことがツイッターのツイートで言われていた。

 たしかに、人格への攻撃や悪口を言うのは生産的とは言いがたい。公共政策の議論を行なうことは、たんなる攻撃や悪口と比べれば生産性があるものだ。攻撃や悪口はやめるようにすることがいるが、質疑応答ということにおいて、与党や政権は聞かれたことにまともに受け答えていないのはいなめない。これでは議論になるものではない。

 質疑応答において、聞かれたことにかみ合うように答えるのは、議論の基本の技術だ。これができていないのが、いまの政権には見られる。はぐらかしやごまかしやすりかえや演説をしてしまう。これでいったいどうやって生産性のある公共政策についての議論を行なえるというのだろうか。

 にわとりとたまごの関係ではあるが、もっぱら攻撃や悪口をしているのはいまの首相による政権だ。何かというと旧民主党のことを持ち出して、どっちもどっちだの人にうったえる議論にもっていっている。人にうったえる議論は形式としてはきびしく見れば詭弁であって虚偽だ。

 国会で野党の議員は政権にたいして質問をする。政権はそれにたいしてかみ合うように答える。憲法ではそうすることを定めているというのだが、この定めをないがしろにしているのがいまの首相による政権だ。

 攻撃や悪口ではなく、公共政策についての議論をするのがのぞましいとはいえ、そのまえに政権が憲法の定めをないがしろにせずに守るようにしてほしいものだ。定めを守らずにないがしろにするのは、法をおろそかにすることであって、これはいまの政権にとっての短期の利益にはなるかもしれないが、長期の国民の利益になるとは言いがたい。政権が無法者(アウトロー)になっているのを改めることがいる。

 いまの政権やいまの与党は、独話(モノローグ)や会話はできていても、ちがいのある他との対話(ダイアローグ)はできているとは言いがたい。これを改めるためには、ちがいのある他を認める理解をもつことと、すじ道の通ったことを言う論理再現性がいる。この二つのどちらもが欠けているのが、いまの政権やいまの与党だろう。

 中身のある公共政策についての話し合いを与党と野党が行なうためには、与党が理解をもつことと論理再現性をもつことがいる。これらがいちじるしく欠けているのだから、話し合いは成り立ちようがない。無理解と非論理非再現性になっているのだ。

 いまの政権やいまの与党は、隠れた前提条件をもっているために、非創造的になっている。この道しかないということで一つの正解幻想におちいっていて、柔軟性がなく、硬直している。言うことややることに説得性が十分に備わっていない。隠れた前提条件としてあげられるのは、首相のお友だちや身内を優遇するとか、業者(基地を建設する業者)との取り引きで党が利益を得るといったものなどだ。

 議論において生産性が欠けることになるもとは、もっぱら与党にあるのであって、たんに反対してくる野党に責任をなすりつけるのでは解決にはつながりがたい。いまの政権やいまの与党が変わらないことにはどうにもしようがないことだ。

 国会において、与党と野党とが生産性のある議論を行なえていないのがあるさいに、そこに相互作用がはたらいていると見なせる。たんに野党がたよりないとか、野党が支持されていないという単独の話なのではない。いまの政権やいまの与党がどうしようもないていたらくであるために、そこから相互作用がはたらいて、野党の力が弱くなっている。

 野党が駄目だというのなら、相互作用がはたらいていることをくみ入れると、与党もまた(それと同じかそれ以上に)駄目なのだ。どっちもどっちの話になってしまいはするが、いずれにしても、与党と野党もともに自分たちを正当化するカタリによっているのは多かれ少なかれある。与党のほうがよりひどいのはあるし、お金にも汚いのは言っておきたい。権力はお金によっているのがあるために、お金の不正がおきやすい。

 参照文献 『対話力』樋口裕一 久恒啓一 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之 『あなたの人生が変わる対話術』泉谷閑示(いずみやかんじ) 『議論のレッスン』福澤一吉 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『民主制の欠点 仲良く論争しよう』内野正幸 『創造力をみがくヒント』伊藤進 『‹聞く力›を鍛える』伊藤進 『心理学って役に立つんですか?』伊藤進 『政治家を疑え』高瀬淳一 『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』佐藤優 井戸まさえ