上位(メタ)による国家と下位(ベタ)による国家

 自由主義による国家のあり方がある。政治学者の丸山真男氏はこれを中性国家と呼んでいるという。上位のメタによる国家と言えるものだ。これとはちがい、下位の実質(ベタ)による国家は、本質主義によるものだ。

 下位の実質による国家は本質主義によるもので、本質は存在に先立つとなる。本質には国家が当てはまる。存在には国民を当てはめられる。国民よりも国家が先立つとなって、国家主義をとることにつながる。

 本質主義によらないものとして、実存主義を持ち出すことができる。実存主義においては、実存は本質に先立つ。本質である国家よりも実存である個が先にあるということになる。これは個がたがいに契約を結び合って国家や社会を成り立たせるという近代におけるあり方にそぐうものだ。契約によるあり方は現実というよりも虚構のものではあるが。

 参照文献 『日中韓はひとつになれない』小倉紀蔵