学校で教えられる歴史における、アメリカと日本のちがいで、日本のほうが劣っているとは必ずしも見なせそうにない(現実の本当のところはわからないが、アメリカのほうが優れているとは言い切れそうにない)

 アメリカでは、学校の歴史の教科で、アメリカの国を愛することが教えられる。それで子どもたちはみんなアメリカの国のことが好きになる。愛するようになる。かたや日本はそうはなっていない。日本における歴史の教科では、必ずしも日本の国を愛することは教えられていない。すべての子どもたちが日本の国を好きになることにはつながっていない。

 本当の事実というのではないかもしれないが、アメリカと日本がこのようになっているとして、日本はアメリカのことを見習うべきなのだろうか。アメリカは優れていて日本は劣っているのだろうか。むしろ逆に、この点で言うと、アメリカは劣っていて、日本のほうが優れていると見ることができる。アメリカが日本のあり方を見習うのがあっても悪いことはない。

 アメリカのように、子どもたちがみんな自国のことを好きになるのではないとしても、日本は日本で自信をもってよい。嘘やごまかしをしてまで自国のことを好きになってもらうよりかは、たとえ好きになってもらえなくてもなるべく事実に近いことを知ったほうが有益だ。

 本当のことかどうかはわからないけど、もし子どもたちがみんなアメリカのことを好きになるようなあり方にアメリカの学校ではなっているとしても、そうしたあり方が健全だとは限らないから、日本がそれを真似するに値するとは言えそうにない。全体としてどうかはともかくとして、部分の話としては、アメリカが優れているとは必ずしも言えないし、日本が劣っているとは言えないものだ。

 アメリカの学校で教えられる歴史によって、子どもたちのみんながアメリカの国のことを好きになるのであれば、それはいったい何を示しているのかと言うと、アメリカの国をよくしたて上げているのだ。このしたて上げるのは正しいことだとは言えそうにない。アメリカはよい国だというふうにしたて上げるべきではなく、悪いこともいくつもやっているというふうにずらすべきだ。じっさいにそうなのがある。

 日本はすべての子どもたちが日本をよい国として好きになるのではないのであれば、自己批判ができていると見なすこともできなくはない。相対的なものではあるが、みんなが自国をよい国だとして好きになってしまうよりかは、まだいくぶんかはましなのではないだろうか。ほんのちょっとだけましというくらいのものではあるが。