県民投票を行なうことへの批判として、二者択一は乱暴だというのはどうなのだろうか(乱暴だという見かたもできるが、選択肢が増えると意思が分散されてしまうのがある)

 沖縄県で県民投票が行なわれるという。沖縄県アメリカの軍事基地を移転する是非を問うものだ。この県民投票では、沖縄県の一部の市で、県民投票を拒否する動きが出ている。およそ三割の県内の有権者が投票できないことになるという。

 県民投票をこばむ市長の中で、県民投票が二者択一であることから、県民投票そのものを行なうべきではないとする言い分が言われている。これについてはちょっと賛同できづらいものだ。

 県民投票というのは一つの政治の意思決定をするものなのだから、二つの選択肢による二者択一は合理的なものだろう。選択肢が三つや四つに増えるとかえってよくないというのがあるそうなので、乱暴なものとは言えそうにない。

 社会によるものごとを決めるさいには、選択肢を二つにするのが安全であるという。選択肢が二つよりも増えて、三つ以上になると理論として問題がおきてくる。単純投票で決めるときには、なるべく選択肢を二つにするのがのぞましいとされる。

 県民の意思を示す機会になるので、個人としては、県民投票をこばまないようにして、県内のすべての有権者が投票できるようになるほうがよいと見なせる。国政で直接民主主義(国民投票)を行なうと危険性があるようだが、地方の政治ではそこまで危険性は高くはないだろう。国家を揺るがすようなことになるとは見なしづらい。

 国政において直接民主主義(国民投票)を行なうと、いまイギリスが欧州連合(EU)からの離脱でもめているように、危険性がおきることがあるという。大衆迎合主義(ポピュリズム)におちいることがある。人民投票(プレビシット)となって、強い指導者などへの人気投票におちいる。それが危ぶまれるので、国政においては行なうのは必ずしもよいとは言い切れないそうだ。

 参照文献 『民主制の欠点 仲良く論争しよう』内野正幸 『現代倫理学入門』加藤尚武