消費税(の引き上げ)についての悲観論と楽観論と、消費税を引き上げないことについての悲観論と楽観論がとれる

 消費税を八パーセントから一〇パーセントに引き上げる。二パーセント引き上がる。税を引き上げるのと引き換えに、国民が消費したさいに五パーセントの引き下げ(還元)を政府は検討しているという。クレジットカードで買いものをすると、五パーセント還元される。

 テレビに出ていた専門家はこれにたいして疑問を投げかけている。消費税の率を引き上げるのは、社会保障の財源を安定させるためだ。それを、消費するときに五パーセント還元してしまうと、景気にたいする対策にはなるかもしれないが、財源の安定としては駄目になる。対策を打つのは、ほんらいは低所得者に向けたもののはずだが、高所得者のためのものになってしまっている。

 消費税を二パーセント引き上げることはするものの、それとともに、消費のさいに五パーセント還元する。いまの首相による政権はそうしたことをやろうとしているようだが、これはおかしなものだと見なしたい。あれも、これも、になってしまっている。

 九ヶ月間のあいだ、消費について五パーセント還元したところで、一時的な対策にしかなっていない。あとにおきるかもしれない反動のおそれを見こんでいないのだとすれば無責任だろう。

 いまの首相としては、こうした対策を打つことによって、うまくつり合いをとっているとか、うまく折衷していると見なしているのだろう。しかしじっさいにはたんにでたらめになってしまっている見こみが高い。

 消費税を引き上げるのにも関わらず、消費の五パーセントの還元をするというのでは、いったい何がやりたいのかという話になる。九ヶ月という中途半端なあいだだけ消費の還元をするのなら、そもそも消費税を引き上げなければよい。何のために消費の還元をするのかがわからないし、何のために消費税を引き上げるのかもわからない。

 医者でいえば、やぶ医者のようなことをやっているのではないだろうか。消費税を引き上げるにせよ、引き上げないにせよ、いずれにせよ国民にたいして十分に説明をしたらどうだろう。医者でいえば、インフォームド・コンセントを行なう。説明することを含めて、きちんとした責任をとれない(とらない)くせに、いまの首相による政権は、変な形でうわべだけの責任をになおうとするから変なことになっている。