説得性は低いかもしれないが、ゴーン氏が悪いことをしたとされることについて、とることができるかもしれない見かた

 日産自動車の会長のカルロス・ゴーン氏が逮捕されたという。ゴーン氏は報酬を受けていながら、その一部を書類に記載せずに隠そうとしていた疑いがもたれている。それで東京地検特捜部はゴーン氏を逮捕するにいたった。

 日本の日産ではゴーン氏は自分が得ていた報酬を隠していたとされるが、ゴーン氏が会長を務めるフランスのルノー社ではそうしたことは特にないという。そのため、ルノー社ではゴーン氏の会長の役職を解くことはないとして、解任はしないことを決めた。さしあたってはほかの人を代役に立てて経営に当たるという。

 素人の言うことだから、当たっていないかもしれないが、かりにゴーン氏の頭が馬鹿ではなく賢いのだとすれば、フランスのルノー社では報酬のごまかしなどの悪いことをしていないのに、日本の日産では悪いことをしていたとはちょっと見なしづらい。日本の日産で悪いことをすれば、それがあとで発覚すると自分にとって不利になるのだから、あえてそうした危険をおかすものだろうか。

 ゴーン氏の頭が馬鹿で、賢くないのだとすれば、日本の日産において、悪いことをしてもばれないだろうということで、自分の報酬を隠すことをしていたのかもしれない。または、魔が差したとか、できごころによるとか、お金に目がくらんだということもある。

 日産のリバイバルプランということで、外から呼び入れられて、日産の窮地を救うためにやって来たのがゴーン氏だと言われる。外からやって来たので、しがらみがないことから、大なたを振るうことができた。

 工場を閉鎖したり、人員を削減したりすることなどによって、費用を削っていった。情をさしはさまない乾いたやり方によって、うらみを持たれるようになる。好かれるというのは難しい。その上に、自分は高額な報酬をもらっている。そのことで、そうとうに嫌われることから、力づくといったような形によって、上の立場から無理やりに追い落とされた。

 この見かたは、ゴーン氏を必ずしも悪者とは見ないものであるから、偏ったものではある。日産は、ゴーン氏をまねき入れたが、それが今度は逆に追い出そうとしている。それはゴーン氏が悪いことをしたことによっているのかもしれないが、戴冠と奪冠といったような流れである。