世界や日本の社会には、筋が通っていない不正義なことは色々とあるから、フリーのジャーナリストの行動を叩くのは、ガス抜きにすぎないような気がしないでもない(批判がまったく的外れなのではないだろうが)

 フリーのジャーナリストと言えばネタを売ってそのお金で自分の生活を送る。そうであれば身代金の三億円は自分で支払うのが筋だ。テレビ番組の出演者はそう言っていた。

 番組の共演者は、私もそう思うとして賛成していた。カタールが身代金を支払ったというが、そのせいで外交的にカタールに借りをつくったことになると言っている。

 武装勢力カタール政府は身代金の三億円を支払って、日本のフリーのジャーナリストは解放されたということだが、この三億円は本当に支払われたものかどうかはまだはっきりとはしないものだろう。支払ったと言っているだけかもしれない。

 フリーのジャーナリストは、身代金の三億円を自分で支払うのが筋なのだろうか。これが筋なのだとすれば、身代金の三億円を支払うのを肯定してしまうことになる。犯罪が行なわれるのを肯定することになるから、これはおかしいことだろう。

 危ないところに行っただけなのに、それだけで三億円も支払わなければならないのは、筋が通っているとは言えそうにない。たんに危ないところに行ったのではなく、取材として行っているのだから、遊びに行っているのではない。

 危ないところに自分で行って、三億円を支払わされることに筋が通っているのであれば、そこの地域の危ない現状がそのままになってしまう。ほんらいは、フリーのジャーナリストが現地に行って、人質になって三年間も拘束されて三億円を支払わされるのはあってはならないことだろう。

 たとえ危ないところだからといって、フリーのジャーナリストが人質になって拘束されたり高額の身代金を支払わされたりするのが行なわれるのは正当なことではない。前もってフリーのジャーナリストが身代金に当たる大金を自分で用意したり、あとでその大金を自分で支払ったりするのがまちがいなく必要なのだとは見なせそうにない。