ゴルバチョフ氏が言うように、過去の冷戦のとき(その他の過去も)を十分にふり返ることが大切だから、それをやってもらいたい

 中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱の意向を示す。アメリカのドナルド・トランプ大統領はそう決めたという。このトランプ大統領の意向について、さまざまなところから懸念がもたれている。

 ロシアのゴルバチョフ氏はこう言っているという。条約からの離脱は誤りである。冷戦のときに、アメリカと旧ソ連の首脳が軍縮に合意した努力を水の泡にするものだ。

 アメリカは、戦後の冷戦のときに、どういう負の事態がひきおこされのかを理解していない、とゴルバチョフ氏はしている。冷戦のときには、アメリカと旧ソ連とのあいだで、軍備拡張の終わりのない不毛な競争が行なわれた。一歩まちがえば世界は破滅した。人間や生き物の命を守るために、すべての核軍縮の合意は守られないとならないものだ。条約からの離脱をのぞむといったアメリカによる病を断ち切るように助言をしたい。

 トランプ大統領は、条約からの離脱の意向を示しているが、これはアメリカがもつ好戦的な顔があらわれ出ていると見られるものだ。アメリカには二つの顔があり、そのうちの一つである、戦争をいとわずにそれに向かっていってしまうのがあると言われる。

 核兵器をもつのを公然と許すのは、軍需産業を繁栄させて潤わせることになる。人類は核兵器とともに生きて行けるのか、との問いかけにたいして、いやそれはできないから、核兵器をなくして行くのがいるという核兵器廃絶世界キャンペーン(ICAN)などによる運動が行なわれているのがある。

 核兵器とともに人類は生きては行けないのだから、それをなくして行こうとの運動は、アメリカの国とまったく無縁だというわけではない。理念としての平和というのもまた、アメリカの持つもう一つの顔であるという。

 現実には、好戦的な顔が突出して前面に出ていて、理念としての平和はきわめて影が薄く、見えなくなってしまっている。いまの日本の政府は、アメリカの好戦的な顔のほうに従おうとしている。アメリカから高額な兵器を押しつけられて買わされているしまつだ。

 戦争のときに、アメリカによって核兵器が使われて、それが国内に二回落とされたことで、たいへんな被害をこうむった。この負の経験を想起しつづけるようにして、世界から核兵器をなくして行くようにするうったえをいまの日本の政府にはしてもらいたいものだ。それをしないのは、過去の負の経験を生かすことになっていないことになる。