TAG と FTA の記号

 TAG は FTA とはちがうものだ。政権はそう言っている。政権は FTA の語を使うのが嫌いなようで、それで TAG という語を持ち出したと一つには見られている。

 FTA は Free Trade Agreement(自由貿易協定)の略だという。TAG は Trade Agreement on Goods(物品貿易協定)の略だという。

 政権は TAG は FTA とはちがうと言うが、相手であるアメリカは FTA だと言っているという。言っていることがお互いに食いちがっている。FTA だと言うのを避けるために、政権は国内に配慮して、FTA であるのを TAG であると言い換えたという見かたがとられている。

 TAG と FTA はたんに言い換えただけのものであるとすると、記号表現(シニフィアン)は異なっているものの、語句として指し示している記号内容(シニフィエ)は重なり合うものだということだろう。記号表現はちがうが、意味するところの記号内容にさしたるちがいはないというわけだ。