農水相に圧力をかけた人物が誰なのかは、政権が自分たちで調べるのが筋である

 首相を支持しないのなら、閣僚を辞任せよ。農水相は、政権の関係者にそう迫られたという。この農水相は、自由民主党の総裁選で、首相と対立した石破茂氏の派閥に属する。

 総裁選では首相が三選をはたした。政権の関係者から圧力をかけられたことをおもて沙汰にした農水相は、閣僚から外されるという。総裁選の中で、圧力があったことを発言したことが、評価を落としたとしている。

 政権は、大臣が発言をすることで評価を落としたとしているが、評価を落としたのは大臣ではなくむしろ政権のほうだろう。パワー・ハラスメントに当たるようなことを政権の関係者がしたのがある。

 この大臣について、彼はつくり話をするような人では絶対にないと評するのは、石破茂氏である。石破氏が言うように、この大臣はつくり話をするような人ではないということだし、この大臣の発言が嘘やつくり話であるという具体の証拠はない。

 パワー・ハラスメントまがいのことをされたのはこの大臣であり、この大臣が自分の口から言わなければ、誰にも知られることはなかった。パワー・ハラスメントをしたほうが言うはずはないから、されたほうが自分の口から発言したことは、一つの証拠になる。まったくの嘘やつくり話でないのであれば。これをいちじるしく軽んじているのが、いまの首相とそのとり巻きである。

 誰がパワー・ハラスメントまがいのことをしたのかや、それが本当にあったのかを調べるのは、政権の責任としてやることがいるが、やるつもりはないようだ。このことを重んじて対応するのではなく、カツカレー(三五〇〇円ほどするらしい)をただ食いした四人が誰なのかという、どうでもよいようなことを調べているようである。

 総裁選で、首相を支持するつもりの者たちにカツカレーがふるまわれたが、そのうちの四人は首相に票を入れなかったことがわかっている。これは経済学で言われる埋没費用(サンクコスト)である。それを根にもつよりも、もっとほかにやることがあるのだから、それをやってもらいたいものだ。