党の総裁選で見られる、投資の行動の弱さと強さ

 投資をじっさいにやったことはないから、説得力はないかもしれない。経験がないから説得力はないだろうけど、自由民主党の総裁選を、投資によって見る見かたが成り立つ。

 投資では、大勢の人が右に行っているときに、自分ひとりだけは左に行くようにする。大勢の人が右に行っているときに、自分もそれについて行って右に行くようでは、大きな利益を見こみづらい。

 多くの人が首相を支持している中で、それに抗って首相と対立しようとする。より多くの人が首相のことを支持すればするほど、反対の方向に行く人は少なくなる。大勢の人のあり方に抗って、首相を支持するのとはちがう、その反対の方向に行くことの好機になる。

 大勢の人が右に向かっているのだとすれば、そこには利益はたくさんあるのかというと、一見するとそう見えるところはあるが、その見こみは低いという見かたが成り立つ。みんなが右に行っているときに、自分ひとりは右には行かずに反対の方向である左に行く。非合理な行動のようではあるが、投資の理には適っているものだろう。一人だけ左に行って、利益が得られる確証はないが、可能性はある。

 目立つのと地味なのがあるとすると、目立つものには大勢の人の目が向かいやすい。地味なものには目が向きづらい。目立つものには大勢の人の目が行きやすく、じっさいに目が向かっているのがあるから、そこには大きな利益を見こみづらい。あまり多くの人の目が向かいづらい地味なものに目を向けると、利益を見こめることがある。

 目立ちやすい(ハイ・プロファイル)のと地味(ロー・プロファイル)なのとで、地味なものに目を向けるのは一つの手である。目立ちやすさと価値の高さは必ずしも相関しない。中心と周縁であれば、中心のほうが価値が高く、周縁は価値が低い、とはいちがいには見なせないものである。