憲法は国のあり方や法律のもとになっているから、それらすべてが非合法ということになる

 日本国憲法は非合法だ。それに気がついた。群馬県の伊勢崎市の市議は、ツイッターのツイートの中でそう言っている。

 ふつう日本国憲法が非合法だなどという見かたはしないはずであり、そうした見かたをする人はあまり思い浮かばない。ましてや、政治をになう議員をしているのにもかかわらず、日本国憲法のことを非合法だというのはどういうわけだろうか。

 日本の国民であれば、いちおう日本国憲法を受け入れているものと見なせる。日本国憲法が非合法だというのであれば、日本国憲法(と法律)を受け入れることに合意していないわけであり、契約説からすると、契約を結んでいないことになる。社会契約の外にその人はいるということになるから、いまの日本という国家の外にその人はいるというふうに一つには見なせる。絶対と言えるほど正しい見かたではないだろうが。

 日本国憲法が非合法だというのは、日本国憲法よりもさらに上のなにか法のようなものに照らし合わせて、それで非合法と言っているととらえられる。日本国憲法のさらに上にはいったいどのような法があるのかは定かではない。

 日本国憲法が非合法だと言ってしまうと、日本国憲法最高法規ではなくなることになる。日本国憲法最高法規だからこそ、それが守られるわけだし、それを根拠にして色々な法律がつくられることになる。

 伊勢崎市の市議がツイートで言っていることは、とうてい受け入れることができるものではない。日本国憲法を非合法と言ってしまうのは、合理的なとらえ方とは言えないものである。非合理なものであると言うしかない。

 合理的だとか非合理だとかと言っても、それは絶対に合理的だとか非合理だとかとまでは言えそうにない。あくまでも限定的に合理的だと言うにとどまるのは確かである。日本国憲法は非合法であると、絶対に言うことはできないのかといえば、そうとは言えないかもしれない。そこは専門的なところはよくわからないが、一つの説としては、憲法を守るという決まりはつくりごとであり、虚構であるということが言われている。相対の価値をもつものにとどまるわけだが、これをうら返すと、万人が認める絶対の価値をもつものにすることはできないことを示しているものだろう。中身がよいか悪いかは(人それぞれであるから)別にして、効力をもった憲法がある(存在する)ことは認められる。