番組の中のキャラクターである五歳の女児に最大級の厳しい言い方でしかってほしいのは、国の政治をつかさどっている権力者たちである

 五歳の女児が大人をしかる。NHK の番組に、チコちゃんに叱られる ! というのがあり、視聴者からの人気が高いという。五歳の女児であるチコちゃんが大人に質問をして、それに大人が答えられないと、厳しい言い方でしかられる。それが新鮮さを感じさせるようだ。

 個人としては、チコちゃんにぜひとも厳しい言い方でしかってほしい大人は、国の政治をつかさどっている権力者たちである。大人というか、大きい子どもと言ってもよいだろう。大きい子どもは、力を持っているだけによけいにしまつが悪い。国の政治をつかさどっている権力者たちは、しかられるのは嫌いで、ほめられたくてしようがないだろうけど、そこは良薬は口に苦しとしたいところである。

 チコちゃんは番組の中で、質問に答えられない大人を厳しい言い方でしかるそうだけど、これは一つの面白いやりとりのあり方だ。そこまでしないとしても、せめて質問に見あったことを答えるのはいるだろう。国の政治をつかさどる権力者たちは、国会の中で、ご飯論法や信号無視話法をたびたび用いて、聞かれたこととは関わりのないことを言ってはぐらかす。これは質問に答えられないという以前の話であり、議論の放棄である。それにもかかわらず、しかられずに許されていて、逃げ切ることができているのだから、社会はいったいどうなってしまうのかというのが心配だ。