党の中でまちがった虚偽意識(イデオロギー)がはびこっていて、批判の声がほとんどあげられていないのが見うけられる

 かつての党の総裁選では、候補者が五人ほど出ていた。それが今回の総裁選では、首相のほかに立候補する人が見あたらない。首相への支持をわれ先にと示すことが行なわれている。立候補する人は、あとで首相とそのとり巻きから冷遇されて干されるとおどされていて、つぶされているのである。

 かつての自由民主党のあり方と今とでは、変質してしまっているのだと言うのは、石破茂氏である。かつての議論を戦わせ合う健全なあり方はどこへいってしまったのだろうかとなげいている。このなげきにはうなずけるところである。かつてもそうたいしたものではなかったような気もするが。

 かつては総裁選に候補者が五人くらい出ていたのが、いまでは出ようとする人が見あたらず、はやばやと首相への支持を示しているていたらくである。それで首相とそのとり巻きから利得を得ようとしているのである。これは戦争につながるあり方だと言ってよい。

 戦争につながるあり方だというのは、飛躍や誇張があるように響くかもしれないが、それは権力者とそのとり巻きからやすやすと利得を得ようとするあり方にある。これははなはだ危険なあり方である。この危険なあり方をよしとしてうながしているのが、首相とそのとり巻きである。首相とそのとり巻きは、戦争をできるかぎりおこさないようにしようという気がないと言ってよい。

 権力の維持のためであれば、他国からの脅威を必要以上にあおり立てることをする。自分を支持する者はとり立てて、そうでない者は周縁へ追いやる。これは自民党の中でのみならず、社会の全体に広く広がってしまっていて、社会が偏ったふうになってしまっている。中立さが損なわれてしまっている。この点については、ほかのちがう見かたもできるものではあるかもしれないが。