従順な者たちだけで集団を固めようとするような非現実の虚偽意識をとっている

 支持をした者はとり立てる。早めに支持をすることをとる者はそれだけ優遇する。しかし支持をせずに対立するのであれば冷遇する。自由民主党安倍晋三首相とそのとり巻きは、総裁選においてそのようなあり方をとっているという。

 たしかに、首相とそのとり巻きにとってみれば、自分たちを支持してくれる者をひいきしたい気持ちはわからないでもない。また、自分たちに対立する者がいないのであれば、それに越したことはないというのもわからないではない。そのほうが楽だからだ。しかし、たとえめんどうであっても対立点をつくるという作業をしないのだから、手ぬきであるのは疑いがない。資本主義の経済と同じように、手ぬきやずるをしないと利益があがらないのである。

 首相とそのとり巻きがとっているあり方は個人としてはいただけない。そのいっぽうで、おなじ自民党に属する石破茂氏のあり方はどうだろうかというと、これは個人としてはうなずけるものである。それというのも、たとえめんどうであっても、対立点をつくろうとしているからである。自分からそれを買って出ている。

 人が何人か集まり集団を形づくるのであれば、そこに矛盾がおきるのは必然である。闘争がおきるのは、人間の尺度を超えた事実である。まったく矛盾のない無矛盾のあり方はなかなかとれないものである。首相とそのとり巻きは、まったく矛盾のないあり方をよしとしているのであり、これは集団や社会の現実的なあり方にまったく反していると言うしかない。非現実的である。いっぽう石破氏のあり方は現実的である。そのちがいにおいて、首相とそのとり巻きがとっているあり方は、個人としてはまったく賛同できるものではなく、おかしなものであると言わざるをえない。