東京五輪で学生などからボランティアを募るのは、社会の負のからくりが透けて見えるようである(支払うべきところにきちんとした報酬を支払っていない)

 二〇二〇年にもよおされる東京五輪の期間のあいだは、授業を避けてほしい。大学や専門学校に国はこうした通知をしているという。ボランティアの活動に学生が参加しやすいようにするためだとされる。ボランティアとは言いつつも、じっさいには学生をただ働きさせるのにちがいないものである。

 東京五輪は、ボランティアすなわちただ働きをする人がいないと成り立たないもよおしだと言ってさしつかえがない。ボランティアすなわちただ働きさせられる人は、ほんらいであればきちんとした報酬が支払われるべきだが、それをしたら東京五輪は成り立たなくなってしまう。東京五輪は、ボランティアすなわちただ働きさせられてしまう人たちから、ほんらいであれば支払われるべき報酬を不当に搾取することで成り立っていると見られる。これは東京五輪にかぎらず、社会や国の全体のあり方を象徴するものだということができる。