日本国家をつぶそうと思っているわけではないだろうから、つぶそうとしているとするのは陰謀理論による決めつけになるだろう

 報道機関は、日本国家をつぶすためにいる。自由民主党の議員の人は、そのように語っていた。報道機関は日本国家をつぶすためにいるというのは、与党のあげ足とりのようなことをやっているというのを指し示したいのだろうか。

 たしかに、報道機関の報じることが、本質をついたものではないことは少なくはないだろう。与党にたいするあげ足とりのような報じ方になってしまっているのが中にはある。しかし、そうであるからといって、与党のごますりのようになってしまうのであれば、それもまた日本国家をつぶすことになりかねない。与党がやっていることが正しいとは言い切れないからである。

 与党にとって(一部の)報道機関は敵となってしまうのはあるけど、敵であると見なしてこと足れりとするのであれば十分ではない。日本は、報道の自由度が世界の中で見てそれほど高くはないのがあるから、そこを改善して行くのがあればよいのがある。報道の自由度がそこまで高くなく、質や量が必ずしも十分ではないために、即興のニュースがちまたに出回ってしまい、はびこってしまう。

 報道機関を与党にとっての敵だと見なして、陰謀勢力だとするのは、本質による見かただとは言いづらい。本質としては、与党にごまをするのではなく、たんなるあげ足とりになるのでもないような報道のあり方をいかにとれるようにできるかがある。いまの報道のあり方は、与党になびいてしまったりごまをすってしまったりしているものが見うけられる。これは中立で偏りのない報道のあり方だとは見なすことができない。

 日本国家がつぶれないというのも大事なことではあるけど、つぶれないからよいのだというふうには必ずしも言うことができそうにない。嘘やごまかしによってつぶれないでいるのだとすれば、のぞましいこととは見なせないものである。嘘やごまかしをまったく一つもつかないようにはできないのはあるが、それとともに、国家(や地方)の政治をになう政治家には嘘やごまかしはつきものである。政治家(や役人)による嘘やごまかしがあるのだから、報道機関のことはそれほど強くは言えないのではないか。日本国家のつぶし合いのようにならなければよいものである。

 日本国家がつぶれないようにするためには、報道機関から与党が攻撃されないようであればすむのではない。報道機関から与党が攻撃されなくなれば、日本国家がつぶれないのだという確かな保証はない。

 ストレスがまったくかからないと、体や頭にはかえってよくないというふうに医学では言われる。ストレスということでは、キラーストレスというのもあり、適した度合いを超えたものであるという。

 やるかやられるかといった緊張や対立がおきすぎているのはあるかもしれない。そこを多少は和らげられればよいのがあり、そのためには文脈がぶつかり合うのではなく、すり合わせられるようにして行くのがいる。

 日本国家がつぶれないようにするために大事なのは、報道機関が与党のことを攻撃しないことなのではない。たんなるあげ足とりなだけのことであれば、よいことではないのがあるが、それによって日本国家がすぐにつぶれてしまうことにはつながりづらい。与党の政治家が日本国家をつぶさないために正しい意思決定をするとはかぎらないのだから、そこを(厳しく)監視して行くことがいる。

 個人的な話ではあるが、与党の政治家が日本国家にとっての正しい意思決定をするという保証も根拠もとくに見いだすことができそうにない。ほかの人にはほかの意見や見かたがあるだろうから、まちがいなく正しいのだということは言えないのはある。まちがいなく正しくはないだろうけど、公文書の改ざんや虚偽答弁などの不正が強く疑われているのがあるので、与党が正しい意思決定をするという保証や根拠は失われたと見なさざるをえない(厳しく言えば)。それでも、与党は政権の座にいつづけているし、それが絶対に駄目だというのではないだろうが、何か空気のようなものによっているような気がする(空気に支えられている)。