国民には厳しく求めるが、高級な役人や政治家には厳しく求められない、といったことになっていそうだ(国内における倫理観の二重基準である)

 高い倫理観をもって仕事にのぞんでほしい。省庁の入省式で、新しく役人になる人に向けて、首相はそのように述べていたようだ。これについて、高い倫理観をもつよりもまずほかにもたなければならないものがあるのではないかという気がする。

 まず優先してやらなければならないのは、一般の国民と倫理観を同じにすることである。一般の国民とずれた倫理観をもってしまっていると見なさざるをえないようなことがおきてしまっている。それを改めるようにすることがいるだろう。

 一般の国民とは感覚がかい離してしまっているので、それを同じものにするように努める。かい離してしまっているところに問題を見いだすことができる。一般の国民には許されないことが、上級の役人(や政治家)には許されてしまっている。こうしたあり方ではなくて、一般の国民に厳しく求められることが、同じように上級の役人や政治家にも厳しく求められなければならない。

 高いところにいる人たちが、道徳的にすごくすぐれていて人間としてとても立派である必要は必ずしもないだろう。同じ人間であるという点ではそう言えるけど、倫理観ということでは、一般の国民と同じように、駄目なものはあくまでも駄目なのだというふうにしたほうがよさそうだ。上に立つ人を例外とするのではなくて、下の者と同じ原則をともに守るようにすることで対等に近づけることができる。