レベルの高い答えというのがあってもよいはずだけど、肝心なところでそれが行なわれていないような気がしてならない

 その種のレベルの低い質問はいかがなものかと、軽べつはする。与党の議員が行なった質問のレベルが低いことを軽べつすると、同じ与党の財務相は答えた。この質問は、財務相がになう財務省とその官僚を、よこしまであるとかよからぬ魂胆をもっているとしているものである。政権をおとしめようとする魂胆をもっているのではないかと、財務省とその官僚の動機を決めつけているものである。

 改めて見ると、国会において、レベルの高い質問や受け答えがつね日ごろにおいてなされているのだろうかというのがいぶかしい。レベルの高い質問と、レベルの高い答えがともになされていることはあまりないのではないか。レベルの高い質問が投げかけられるとしても、レベルの低い答えやはぐらかしで応じられることが多そうだ。質問と答えがうまくかみ合っていないことも少なくはない。質問にたいして答えで応じるのではなく、話題とあまり関係のない演説をえんえんとしてしまうことがしばしば行われている。

 財務省とその官僚をよからぬものだとするような質問を行なった与党の議員がいて、その質問を財務相は評価しなかった。レベルが低い質問であり、軽べつするとした。ほんとうにレベルが低くて軽べつするべきものなのかどうかを、改めて見ることができるのがある。財務省を悪玉と見なすような見かたは、経済にくわしく通じている一部の識者の中においてとられている見かたである。財務省は消費税の増税をもくろんでいて、消費増税はまちがったことであるため、財務省は日本をおとしめようとしているのだと論じられているのがある。その論にたいしての賛同者は少なからずいる。こうした人たちがいるのをふまえると、質問をした与党の議員のレベルが低くて軽べつするべきなのかどうかには、多少の留保がつく。財務省を陰謀勢力として見る見かたが正しいとは言いかねるのはあるが。

 自分の部下にあたる財務省の官僚と財務省がさげすめられたのがあり、士気や意欲が下がるのをきらうのもあってか、レベルの低い質問であり軽べつすると財務相はした。そのようにするのはよいのだけど、それ以前のこととして、いまの政権与党の自由民主党タカ派なのがあり、タカ派は質問と答えに応じるというやりとりをうとんじてきらうようなところがある。それを好まない。まどろっこしいことであり、できることならばやりたくないことであるとする。じっさいの直接の行動と結果こそが何よりも大事である。これはかなり単純化したとらえ方だから、その批判は当たらないとされてしまうかもしれない。

 政権与党のタカ派によるあり方によって、財務省とその官僚が政権をおとしめようとしているのではないかとする質問が与党の議員から投げかけられることになった。一つの見かたとしてではあるけど、そのように見なせるのがあるのではないかという気が個人としてはする。