椅子の高さのちがい(椅子のクッションの積み増し)

 首相が内外の要人などと会う。室内でそうしたことがあるさいに、首相の座る椅子と客人の座る椅子とは同等のものであった。しかし安倍晋三首相は今年度から、自分が座る椅子を客人のとはちがうものにしているようだ。首相が座る椅子は柄がちがい、高さもやや高いのである。これはいったい何の効果をねらってのものなのだろうか。何の効果もねらっていないというのはちょっと考えづらい。

 そもそも、首相が客人と会うのは、首相にとってははじめからやや有利な場で行なわれる。外からやってくる人であれば、相手がこちらへ出向いてきてくれる。首相はそれをむかえ入れる立場であり、自分から出向いてゆくわけではない。サッカーの試合でいうと、首相は若干のホームアドバンテージをもつ。客人はアウェイだといえる。そうしたのがあるので、さらに椅子の高さまでを(自分のだけ)高くすることがいるのかが疑問である。

 椅子の柄を自分のだけ変えるのはよいとしても、高さまで変えることがいるのだろうか。やや高くなっていることで、写真によると、ちょっと座りづらそうにも見受けられる。もし椅子の高さを変えるのであれば、人によって対応を変えるのはちょっと変である。そうしてしまうと、人の地位のいかんによって判断をきかせているように映る。そうした応じ方よりも、基本としてどのような人であっても対応を同じにする、としたほうが差をつけないですむ。人を上に見たり下に見たりするのを防げそうだ。