男らしさのあり方への反命題をあらわすものとして受けとることもできなくはなさそうだ

 フィリピンに、慰安婦像が建てられた。これは、フィリピンの首都のマニラに置かれているという。像の台座には、一九四二年から一九四五年の日本の占領下で虐待の被害にあったすべてのフィリピン人女性の記憶、などと記されているそうだ。

 日本大使館はこれを受けて、両国の関係によくない影響をおよぼしかねないとして懸念をあらわしている。この懸念については、まったくまちがったものとは言えないかもしれないが、両国の関係によくない影響をおよぼすかどうかは、その当事者の一方である日本の受けとり方によってちがってくるところもある。

 この問題と間接にかかわりそうなのが、男らしさの歴史である。これは毎日新聞の書評の欄で紹介されていたものである。歴史は男系原理によって偏向を受けているという。なので、双系原理に立ってすべての言説を見直してゆくことがいるとしている。

 男らしさの歴史による主張をふまえてみると、慰安婦像が建てられたことは、男系原理による偏向を改めるきっかけとすることもできないではない。双系原理に立つための足場とすることができる。男系原理に立ったうえで成り立つ歴史にとってはのぞましくないことではあるかもしれないが、双系原理に立とうとするうえでは役に立つ。そうした見かたがとれるのがありそうだ。