建て物がとり壊されて、後ろの景色が見えるようになった

 建て物が建っている。そのうしろに山がある。そうしたふうになっていて、建て物がとり壊されることになった。その建て物は住宅ではなくて四階建てくらいの会館なんだけど、とり壊されてみると見晴らしがよくなった。うしろにあった山がすぐ目の前に見えるので、それが新鮮なふうに映る。風景が開けたようなふうになった。建て物が風景をさえぎっていたのだなあと気がついた。建て物は人々が使うものであり、衆生世間のものである。いっぽう山は器世間(きせけん)である。この二つが図と地であるとして、それが転換したふうになった。