増税に耐えられる経済の足場を整えるのと、反対派を説き伏せるのとは、どちらのほうが難しいのだろう(どちらのほうが易しいのだろう)

 消費税の 10%への引き上げは、予定どおりおこなう。テレビ番組に出演したさいに、自由民主党安倍晋三首相はこのように述べた。2019年の 10月に予定されている消費税の増税をおこなう意思を示した。

 首相は合わせて、財政の赤字を減らして健全化をはかるとしている。また、国内総生産に占める債務残高の割合を低くするように努めると語っている。消費税の増税とともに、これらはできるだけなしとげるべき目標であるとしていた。

 おもうに、消費税の増税については、ここでこそていねいな説明をしたほうがよいことなのではないかという気がする。この点についてていねいな説明が欠けてしまっているせいで、陰謀理論がはびこってしまったり、即興による解説がなされてしまったりしてしまう。擬人化して見立てる、擬人的思惟にはまりこむ。

 消費税の増税を予定どおり行なうのであれば、それをするのはなぜなのかといった理由づけや、背景となる観点や条件を説く。増税を行なうのが正しいとできるような論拠を出すことによって、しっかりと論証してゆく。そうした過程がとられたほうがよいだろう。反対の立場からの反論があるはずだから、その立場ともやりとりをする。

 一人二役ではないが、アメとムチのようにして、増税の延期を土壇場になってちらつかせるのは、ムチを引っこめてアメを差し出すようなものだといえそうだ。土壇場になってアメを差し出されれば、それについ手を出してしまうのは人情でもある。こうした点については、ことわざでいう、良薬は口に苦し、なんていうのを持ち出すこともできるだろう。たんに苦いだけでは国民は納得しないのはあるわけだから、そこは首相の口からあらかじめていねいな説明をするのがあったほうがよい。それによって、陰謀理論や即興による解説のまん延を、巷から少しは払しょくすることができそうである。