厚生労働省による、医療の情報を見るときに気をつけておくべき 10個の注意点

 情報を見きわめる。そのための 10ヶ条の要点を記したサイトが、厚生労働省のなかにあった。それがこちらである。医療についての情報を見きわめるときに意識するためのものらしい。たしかに医療についての情報は、玉石が入り混じっているので、うまく見ぬくことはなかなかできづらい。医療にかぎらず、ほかの情報を見定めるときにもまた当てはまるところがありそうである。

 政治においても、こうした 10ヶ条の注意が守られていたほうが有益な議論になることがのぞめる。逆にいえば、この注意がおろそかにされてしまうようだと議論が不毛になってしまうおそれが避けづらい。おたがいに揚げ足をとり合ってしまうようになることもありえる。

 政権をになう与党であれば、自分たちだけのことを重んじる 1人称の立場がありえる。しかしそれだと、自分たちだけのことを重んじるわけだから、それに都合の悪いことをねじ曲げてしまいかねない。そのようにならないようにするためには、1人称だけではなく、2人称や 3人称の立場にも立たなければならない。そうしたいくつもの視点に立つことによって、はじめて偏りを少なくすることができるようになるとされる。

 先の国会では、与野党による議論が生産的なものにはならなかったとの反省の弁を、首相は記者会見で述べていた。それを、少しでも生産的な議論になるようにするためには、情報を見きわめるための 10ヶ条をふまえることが多少は役に立つ。しかしじっさいの政治の場では、自分たちに有利な情報には飛びつきやすいだろうし、逆に不利な情報はうとんじて遠ざけたい。そうした思わくがはたらく。そこに弱さがあるということもできるだろう。

 弱さがあるのだからしかたがないとして、大目に見ることはちょっとできがたい。それを言い訳にしてしまうようだと、性善説の立場に立ってしまうことにつながってくる。もしそうであれば、政府はいらないか、もしくは夜警国家のようにかぎりなく小さくしてしまってもかまわない。そうではなくて、性悪説の立場に立つのであれば、悪いことをやっていないかをつねに監視されたり、約束をきちんと守るかどうかをチェックされたりすることを受け入れるかぎりにおいて、はじめてあるていどの大きさの政府があってもよいものだろう。

 そうしたふうに言えそうなので、何らかの事情で政権(政府)が弱っているときこそ、あえて他からの批判を受け入れるようになれればよいのではないか。そうしたほうが、医療でいえば、変な情報に引っかかることを防げる。スキャンダルがもちあがって政権が弱っているときに、自分たちに都合のよい情報をもち出したり、都合の悪い情報を隠したりしてしまうのは、人情としてはわからないでもない。しかしそれをやってしまうと、医療でいえば、変な情報に飛びついてしまい、引っかかってしまうことに通じてくる。ちょっと例えがおかしいかもしれないが。