他党を排斥するのではなく、包摂できればのぞましい(異質なものを排除しないようにできればよい)

 日本共産党にたいして、3つの負の点をあげる。公明党は、そのような内容をのせたツイートをしていた。これは、東京都議会議員選挙をふまえてのもののようである。共産党は、汚い、危険、北朝鮮、として、3K であるとしている。汚いは他党(公明党)の成果の横どりで、危険は公安警察に監視されているのをさす。北朝鮮については、その危険さを小さく見積もりすぎていることにたいする批判である。

 共産党は、公明党からのこのような負の印づけ(スティグマ)を受けて、自分で正の印づけを行っていた。共産党は、きれい、キレキレ、苦難軽減、の 3K であるとしている。ここで、公明党に負の印づけをするべく、3K でやりかえさなかったのがよいと感じた。

 共産党がきれいなのは、政党助成金などを受けとらないことから、お金についてを言っている。キレキレは、国会の内外で政権与党を厳しく追求するさまをさしている。苦難軽減は、立憲主義に立ち、国民の平和的な生存権を守ってゆこうとしている。

 公明党共産党にたいして投げかけた 3K のなかで、北朝鮮についてのものがある。これについては、共産党のありかたがそれほど大きく的はずれなものとはいえないのではないかという気もする。北朝鮮の危険さを見るさいには、どこに参照点を置くのかのちがいがある。それを置くのについて、位置が高いのが安全で、低いのが危険だとすることができる。低いところに置いて、北朝鮮をすごく危険だと見なすにしても、そこには欠点もある。大げさに危険を煽りすぎてしまうおそれがあるのはいなめない。

 大げさに危険を煽りすぎてしまうと、平時の規範が損なわれてしまい、実存による政治の領域を呼びこむ。これは必ずしものぞましいありかたとは言えそうにない。いたずらに、国民のみなを恐怖ですくみ上がらせてしまう。そうではなくて、落ち着いて状況をふまえることもいるだろう。恐怖と(具体的な対象をもたない)不安を混ぜ合わせてしまうのも問題である。

 プロゴルファーのタイガー・ウッズは、試合において、競争相手のことを引き下げようとしないのだという。そうではなくて、逆に競争相手がよい結果を出すことを願う。そうすると自分が勝てなくなるおそれがあるが、そのおそれはとりあえず置いておく。そうすると、競争相手を否定して引き下げようとしないぶん、自分の意欲を高く維持しやすい。競争相手もよい結果を出せばよいし、自分もまたよい結果が出ればよい。おたがいにうまくゆけばよいのである。

 公明党は、共産党を否定して引き下げようとするのではなく、逆にタイガー・ウッズの方式でやっていってもよいのではないだろうか。そうすれば、自分の意欲も高く維持することができるようになることがのぞめる。つり合いの点でいうと、共産党には悪い面もよい面もあるだろうから、悪い面だけを言うのではなく、ついでによい面も言ってあげれば、両論併記になるので、報道機関が報道するさいのお手本になるのではないか。