ミサイルの二次被害(危害)

 国外からミサイルが飛んできた。それが国内に落っこちてしまい、大きな被害をもたらす。そのさい、ミサイルを打ってきた国外の相手を責めるのが筋だろう。しかしそうはせず、国内にいる気に食わない人たちを責める。

 なぜミサイルを打ってきた国外の相手ではなく、国内にいる気に食わない人たちを責めようとしてしまうのか。これは、知らずうちに心理的にすり換えてしまっているからだろう。ほんらいは、国外の相手に原因があるわけだから、そこに直接に文句を言いに行くなりやり返しに行くなり自分でしないとならない。しかしそれにはさまざまな個人の費用がかかる。その個人の費用をかからなくするために、ほかの手近なもので代用するわけだ。経済性の省力化の論理である。

 国内にいる気に食わないと見なされる人たちは、とばっちりを食うことになりかねない。ミサイルが国内に飛んできたこととは関わりがないわけだし、ぬれぎぬを着せられてしまう。そもそも、ミサイルを国内に向けて飛ばしてきた国においても、その国民そのものには責任がないこともありえる。責任者というのはおおむね政治権力を握っている、決定を司る者に当てはまるからである。よって、たとえ気に食わないのだとしても、国内にいる人を叩いてしまうのはできるだけ止めたほうがよさそうだ。