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手紙を届ける

 フランツ・カフカに、皇帝の使者と題する話があるそうだ。これは、ゼノンのパラドックスでいわれるアキレスと亀に似ているなと感じた。アキレスが亀にどうしても追いつけないように、使者は永遠に手紙を受け手に届けることができないかのようだ。

 もし超能力でいわれる、超感覚的知覚(ESP)を使えたなら、その使者がもっている手紙の中身を知ることができそうである。そうなると手紙を待つこともいらなくなる。ただし、あくまでも予見にすぎないため、確実に中身がわかるかどうかは定かではないけど。

 超能力でなくても、今の時代なら車や飛行機が使える。またはサイバー空間であるウェブを使うのが一番早いだろうか。そうした文明の利器を使ってしまうと、早く確実にはなるが話の雰囲気が台なしになる。やはり、運ぶさいの走る(歩く)という、人間のもつ肉体の制約が一つの肝だろう。その制約により、手紙の重みが増すわけだ。

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